長女は今20歳。
夢を目指しながら東京で友達とシェアして暮らしています。
若いので少しくらい無理はするみたいですが、元気です。
そんな長女ですが、4歳のころ膜性腎症という小児特定疾患に罹りました。
確かによく風邪は引いてたけど、特にそれ以外で問題もなく元気に育っていたのでびっくりしました。
膜性腎症とは
膜性腎症は,糸球体基底膜上皮下の免疫複合体沈着とこれに引き続いて起こる糸球体基底膜の反応性変化(びまん性肥厚,スパイク形成,点刻像)を特徴とする糸球体疾患である。糸球体基底膜への免疫複合体の沈着,補体活性化などの現象は炎症の中心的な役割を果たしていることから,WHO分類2)では膜性糸球体腎炎(membranous glomerulonephritis)としている1)。
成人では,ネフローゼ症候群の20~30%を占めるが,小児では発症頻度は少ない。膜性腎症は,特発性と膠原病,感染症,薬剤,悪性腫瘍などによる続発性に大別される(表)
当時、お医者様が噛み砕いて分かりやすく説明してくれました。
「簡単に分かりやすく言うと、ビニール袋に見えない小さな穴があって、ぽたぽた水が漏れているような状態です。腎臓にある薄い膜。その膜が傷ついて本当なら流れ出ない体に必要なもの。淡白や血液も一緒に流れてしまう病気です。」
とのことでした。本当に分かりやすかったです。
幼稚園で蛋白尿が出る
長女が集団生活をしだしたのは4歳の春。
幼稚園の尿検査で蛋白尿がおりて再提出。
再提出でも蛋白尿で、病院で検査するよう言われました。
保健所の3歳児検診では問題なかったので、突然の出来事でびっくりしました。
罹りつけの小児科で相談
尿検査の結果を持って罹りつけの小児科へ行きました。
産婦人科も入っているその小児科は、産まれた時からお世話になっている病院です。
風邪で訪れるといつも丁寧に的確に見てくれて、
「大丈夫大丈夫!これくらいすぐによくなる!」
と、いつも元気をくれる信頼していた先生です。
そんな先生が、結果を見て難しい顔でいいました。
「僕の知り合いで小児の腎臓を扱っている先生がいるからすぐそこで検査して。」
と言われ、その場で紹介状を貰いました。
まさかそんな大事になると思わなかった私はびっくりしましたが、幸い病院は近くだったので予約をとってすぐに長女を連れて行きました。
泌尿器科での検査
小児科の先生に紹介された病院へ行きました。
泌尿器科を受診したことはなく、ちょっとおっかなびっくり入っていくと、そこには子供は一人もいませんでした。
点滴を押しながら歩いているおばあちゃん。
透析を待っているおじいちゃん。
静かな待合室の隅っこで呼ばれるのを待ちます。
あまり待たずに呼ばれ、尿をとり、診察をしてもらいました。
先生は優しそうな子供の扱いに慣れた先生でした。
昔に小児専門でやっていたのもうなずけました。
その先生からの次の指示はこうでした。
「腎生検をしてください。」
大学病院で生検をする
紹介された大学病院で予約をとり診察をしてもらいました。
生検の説明をされ、内臓の細胞を接種するため1週間の入院が必要と言われました。
当時、長女4歳。次女はまだ2歳の誕生日を迎えていませんでした。
長女の入院には24時間付き添いが必要です。
長女と次女の父親とはその頃まだ一緒にいました。しかし、ほぼ単身赴任な状況でした。
今で言う、完全なワンオペ育児でした。
1週間も2歳の子を実家に預けることになり、次女には本当に申し訳なく思いましたが、仕方ないので泣く泣く2歳手前の子に何度も説明しました。
少しは理解していたのか、入院当日は泣かずに手を振っていました。
それが逆に泣けました。
無事入院手続きをすませ、予約時間に生検をします。
麻酔するところで部屋から退室させられ、戻ってきたときは薬が効いていてまだぐっすり眠っていました。
1週間の入院
生検が終わった翌日は絶対安静でしたが、それ以降は激しい動きをしなければ特に制限はありませんでした。
小児病棟を探検したり、病室で仲良くなった子と遊んだり、意外と楽しそうに過ごしていました。
経過も順調で、特に心配することはなかったですが、子供の膜性腎症はかなり珍しい症例とのこと。
大学病院ということもあり、先生が回診にくるたびに研修生や医大生が5~6人ついてきていました。本人はお兄ちゃんやお姉ちゃんにかまってもらえて嬉しそうでよかったです。
そういえば、小児の腎臓専門医は本当に少ないらしく、同じ時期に沖縄からわざわざ関西にあるその病院まで入院しに来ていた子もいてびっくりしました。
近くに先生がいないと本当に色々大変です。
退院後の生活
経過も良好で無事退院。
退院後は2週間は園に通えず自宅で安静にしていました。
退院してまもなく2歳の誕生日を迎えた次女ですが、1週間離れていたので私にべったりかと思いきや、お姉ちゃんに会えなかったのが寂しかったらしく、長女のそばから離れませんでした。笑
この家での安静期間は思ったより大変でした。
激しい動きは避けなければいけないため、4歳児が久しぶりに家に帰ってきて、走り回ったり飛んだりするのを諭すのが大変でした。
安静期間が過ぎると、普段の生活と変わらない生活が送れました。
毎日処方された薬を服用し、定期的に病院へ検査をしに行く。
毎月の病院通いは小学校4年生まで続きました。
その間も特に変わりなく、その後半年薬を飲まずに再度病院へ。
4年生の半ばごろの尿検査と血液検査で「完治」となりました。
長女の場合は6年間の服用で完治。
小児の膜性腎症は重症化せず、完治することが殆どです。
最初に受けていた説明の通り、その後は発症することもなく現在に至ります。
治療中に長女が始めた習い事
治療中、長女5歳の時、新体操に通いたいと言い始めました。
きっかけは幼馴染の新体操の発表会のDVDを見たからです。
可愛いレオタードにキラキラしたステージ。女の子なら憧れる舞台です。
筋力をつけたら体も丈夫になると思ったので、先生に相談したところ問題ないとのことでした。
新体操を始めてから年々風邪をひきにくくなり、体が丈夫になっていきました。
腎疾患でも服用して症状が治まっている場合は運動が可能です。
できないと決めつけずに、先生に相談するといい答えが返ってくるかもしれません。
小児慢性特定疾患には医療費控除があります
小児慢性特定疾患には医療費控除があり、その疾病に関する治療を指定医療機関で受診した際の医療費が控除されます。
世帯の所得によって自己負担金額はありますが、慢性疾病は長期治療になる傾向があり、医療費や薬代も高額になる場合が多いため、控除を受けることをおすすめします。
控除申請は自治体へ必要書類や診断書を提出します。
詳細はこちら⇒政府広報オンライン
最後に
小児の膜性腎症がどうして発症するかは原因不明です。
子供が大病をすると
「私が丈夫に産んであげれなかったばっかりに・・・」
と、お母さんはきっと少なからず思うと思います。私もそうでした。
ですが、膜性腎症は子供が発症した場合、薬を飲み続けることで殆どが完治する病気です。
生活の制限も殆どないため、うっかり病気ということを忘れそうになりますが、完治まで根気良く治療を続けて健康を取り戻しましょう!
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